ひさしぶりのここ

一緒にいて、楽しくて、終電を毎回乗り過ごす、友達がいた。
最初から最後まで友達だった。

唯一、夜更かしできる土曜日。
「何しようか」って考えながら、眠ってしまう。
かぎ括弧の使い方、変わらない、15年前に教えてもらったまま。
 
さて、何をしよう。

ネイルアートでも。
ビーズでアクセサリー作ったり?
図面でも描こうか。
子どものおもちゃを作ろうか。
あ、ボトルケースを編もうと思ってたんだ。
車のデザイン画を出さなきゃもう間に合わない!

あぁ。ニューヨークの夜景とか見たいな。

ご主人様はパリ出張かぁ。いいなぁ。
今年はわりと日本にいる。

土日

土日会う人

毎日会う人

随分会ってない人

毎日メールする人





お揃いのジュースに
おいしくない・・・

って苦笑して。



食べるときの綺麗な所作
優しい笑顔
こっちおいでと手招きする彼




こんな適当な性格なのに
好きな日があったり
嫌いな日があったり
好きだって言ってみたり
嫌いになってみたり
まどっちでもいっか
って思ってみたり

仕事終わりのバー

かっこいい人。

会うたびに、見入ってしまう。



いつも話が終わらなくて、
タクシーで送ってくれる。


そうだな。
倍くらいの距離があるのに。




なんだか、弱いメールに驚く。



すごく落ち込んだとき、
助けてくれたのは
彼のいうアイツの言葉だった。



911の日。
学生のくせにドライブで、
張り切った彼は外車に乗ってきた。

なんて学生なんだ。
と思いつつ。
海へ行って
イタリアンを食べて、
夜景を見に行った。


そんな彼も結婚し、
子供が出来た。


それでも
繋がっていてくれる友達。



わかれる日。
迎えにくるなら、
今度は大きなダイヤの指輪を持ってこないと、
元には戻らないから。

冗談を言いながら、
笑いながら
わかれた。



彼は言った。
アイツと会ってるんだろ。

昔昔つきあった人の
友達と、仕事帰りに
静かなバーで飲むのが日課になっていた頃。
かっこいい人。。。
背が高くて、
顔が小さくて、
誠実で、
優しい。

でも、私はどこか、
違う誰かと繋がっていたくて、
彼のいうアイツと毎晩のように飲んでいた。


ある日。
結婚すると連絡がきた。
わかれてもう、
3年が経った頃だった。

お幸せに♩
とめいっぱい振絞って言ったつもりだった。
なのに、
彼は、
そっちは幸せ?
と聞いてきた。
アイツと会ってるんだろ。

ーーー

あなたとわかれてから、
誰ともつきあってない。

ーーー

その一言で、
なんとなくお互い電話をきった。




彼を待っていたつもりはなかった。
新宿で1時間待ちぼうけした時も、
荻窪で久しぶりに会ったときのよそよそしい表情も
なんとなくわかれたいんだ。
と気づいたつもりで、
わかれたつもりが、
一ヶ月もしないうちに、
より戻せる?
と言ってきた。

気持ちはもう
もどらないきがした。


あなたが望んだんだと思っていた。

何があったかしらないけれど、
毎日作りにいく、夕食に
家政婦なのかも。
と思ったり。
二人で出かける予定が、
5人になったり。

私はお手伝いさんにはなれない。



つきあい始めた頃の、
朝早く待ち合わせをして、
会うたびに、小旅行をしていた。

大学生のくせに、
送り迎えをしてもらって、
どこか申し訳なくて始めた家事も、
いつしか、
義務になっていた。




社会人になって、
お互い変わったと思っていた。


そして、
仕事帰りの楽しみの
彼のいうアイツとの
静かな宴も、
それ以来なくなった。



会うたびに、
ためいきがでるほどかっこいい
アイツは、

心が優しすぎて、
人見知りが激しくて、
彼女にいつも、
何を考えているのかわからないと
ふられてしまう。
私は彼がどんなにか彼女を大切に思っているか知っている唯一の人だった。


そして、
彼のいうアイツも
私のたちきれていないわずかな気持ちを知る
唯一の人だった。